会員制組織

membership organization
 会の旧字「會」は、蓋のある食器を象形している。下部は甑(こしき)の形で、その上に蓋のある器を置き、下から蒸して蒸し物を料理することをいう。器蓋(きがい)を合わせることから会合・会集の意となった(白川静)。人が結集した組織の構成員を会員と呼ぶゆえんである。たんに組織といわず会員制組織というときは、会員資格要件の設定による構成員の画定や拡充など何らかの積極的な意図や意義が含意されているといえる。会員制組織は、民間営利・民間非営利両セクターに広く存在する。団体・法人自体が会員制組織であるだけでなく、その事業の形態として会員制組織を採用するもの(会員権を設定した会員制ビジネス等)も多い。民間非営利組織の場合、会員制組織をとる団体・法人の類型は、権利能力なき社団や一般社団法人、特定非営利活動法人などに分岐している。アメリカでは、内国歳入庁(IRS)に登録された非課税団体として、(1)免税資格に加えて寄附控除資格をもつ①501(c)(3)に定める公益慈善団体や民間財団、(2)免税資格を有するが寄附控除資格はもたない②501(c)(4)に定める公益社会福祉団体や、③501(c)のその他の条項に定める団体がある。③には基本的に会員に奉仕する会員制組織があり、団体数の多い類型として、友愛援助団体(501(c)(8))、企業団体(501(c)(6))、労働・農業組織(501(c)(5))、社交・レクリエーションクラブ(501(c)(7))、退役軍人団体(501(c)(19))、国内友愛援助組織(501(c)(10))などがある(ボリス、4-7)。共通の問題や価値観に基づく501(c)(4)団体(上記(2)②)や、共通のアイデンティティをもつ人々が仲間で共通利益のために結成した(2)③の退役軍人団体などの会員制組織は、501(c)(3)団体よりもはるかに多く政治的アドボカシーにかかわっている。Skocpol, T(. スコッチポル)は、過去2世紀にわたるアメリカの市民的世界の変貌を分析して「メンバーシップからマネジメントへ」と形容し、アメリカ市民社会の再構築、失われた民主主義と市民性の再興について提言した。成人男子主導の友愛団体、退役軍人団体や、女性主導の宗教結社、市民的結社など、連邦型代議制国家を組織モデルとして、階級横断的に地元を越えて連邦化した大規模な自発的メンバーシップ結社は、第2次世界大戦後1940年代後半から60年代半ばまで好調だった。一方、50年代半ばから70年代中頃までの「長い60年代」に、公民権運動、フェミニズム運動、環境保護運動など大規模な社会運動が成長し、政府の規制・財政政策や社会の階級・キャリア構造等の政治的・社会的変化のもと、専門的に運営される新種の市民的事業が急増し、多くのアドボカシーグループを含むさまざまな市民組織が増殖した。周辺化していた社会的カテゴリーに属する女性、黒人、少数民族集団等の諸権利を主張する団体がリードし、斬新な公益観(環境保護、児童擁護、政治改革等)の擁護を主張する市民アドボカシーグループがすぐ後を追い、「アドボカシーの噴出」(Berry, J.M.:ベリー)が出来した。こうした専門的マネジメントによるアドボカシーグループは、草の根会員が不在あるいは必要とせず、「胴体のない頭」とも称される。代表制ガバナンス体系を有し、歴史の古い個人会員基盤の自発的メンバーシップ連合体の多くが会員を減らし、全国的な公共的問題に影響力を失い衰退したなか、一部のメンバーシップ結社は、目標・目的の再設定、役割の再定位を経て存続している(スコッチポル)。
(初谷 勇)