ODA

 Official Development Assistanceの略で、政府開発援助と訳され、先進国による発展途上国への経済援助、資金援助(有償・無償)と技術援助である。政府開発援助(ODA)の形態は、2国間援助(有償資金協力、無償資金援助と技術援助)と多国間援助(国際復興開発銀行[IBRD:International Bank forReconstruction and Development]、アジア開発銀行[ADB:Asian Development Bank]、国際連合教育科学文化機関[UNESCO:United Nations Educational, Scientific andCultural Organization]等への資金出資)である。ODAは、1969年に開発途上国の経済発展と自由かつ多角的な貿易の実現を目的とする経済協力開発機構(OECD)の下部機関として、開発援助委員会(DAC:DevelopmentAssistance Committee)においてつぎの3つ、①政府または政府の実施機関により、開発途上国または国際機関に供与されること、②開発途上国の経済開発と福祉の向上に寄与することをおもな目的としていること、③資金協力についてはグランド・エレメントが25%以上であることの要件を満たすもの、と定義された。平成4(1992)年に日本はODA大綱で基本理念や重点事項等に関する指針を決め、平成27(2015)年にODA大綱は改定され開発協力大綱になった。その背景には社会のグローバル化によりODAの役割の変化や国家安全保障戦略からODAの積極的・戦略的な活用が求められるようになり、また国際社会における開発議論の変化や非政府開発援助の資金等の連携強化の必要性が高まっていたことがある。開発協力大綱の理念にある開発の目的は、世界の責任ある国家として国際社会が抱える課題の開発問題、人道問題の対処に積極的に寄与し国際社会を主導し、国際社会の平和安定および繁栄のために開発協力を推進することをあげ、基本方針には非軍事的協力による平和と繁栄への貢献、人間の安全保障の推進、自立的発展に向けた努力が掲げられている。平成30(2018)年、日本のODAへの支出額は、アメリカ、ドイツ、イギリスに次ぎ4位で141億6,400万ドルである。
(山田國雄)