NPO法人会計基準

 平成22(2010) 年7 月20日、NPO法人会計基準協議会から公表された基準である。NPO法人の会計の指針は、平成11(1999)年に経済企画庁から「特定非営利活動法人の会計の手引き」で公表されていたが、NPO法人の理解はすすんでいなかった。この事態を考慮し国民生活審議会は平成19(2007)年6月、総合企画部会報告「特定非営利活動法人制度の見直しに向けて」のなかで会計基準策定の必要性について言及し、所轄庁が策定すると必要以上の指導的効果を及ぼすおそれがあるため、民間の自主的な取り組みに任せるべきとの考え方を示した。この報告を受け、全国18のNPO支援組織がNPO法人会計基準協議会を発足させ、平成21(2009)年3月策定作業をスタートさせた。同協議会は、専門家、研究者、実務家および助成財団等の24名で構成された策定委員会に会計基準の策定を諮問し、策定委員会は全8回の委員会を開催しパブリックコメントを経て、平成22年7月20日にNPO法人会計基準を同協議会に答申した。策定作業にあたり特筆すべきは、策定資金は全額を民間からの寄附で賄ったこと、内閣府および47都道府県すべてがオブザーバーとなったこと、基準公表時には協議会メンバーは79団体に達したこと、また策定委員会のもとには、委員会をサポートする専門委員として42名(うち11名は策定委員兼務)の協力をえられたことなどをあげることができる。NPO会計基準はNPO法人とプロボノと支援企業等によって行われた日本で初めての大規模な会計基準策定プロジェクトといえる。
(江田 寛)