NDB・介護DB

 レセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB:National Database of HealthInsurance Claims and Specific HealthCheckups of Japan)は、平成20(2008)年4月に施行された高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、医療費適正化計画の作成、実施および評価のための調査や分析などに用いるデータベースとして、レセプト情報および特定健診・特定保健指導情報を格納・構築しているものである。NDBについては、医療費適正化計画に関連する調査や分析以外にも、医療サービスの質の向上などを目指し、正確なエビデンスに基づいた施策を推進するために活用すべく、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)の「新たな情報通信技術戦略工程表」(平成22[2010]年6月22日閣議決定)において、レセプト情報等の提供のためのルールを整備し、提供を開始することが定められた。これを受け、厚生労働省では平成23(2011)年度に「レセプト情報等の提供に関する有識者会議」を設置し、データ利用に向けた「レセプト情報・特定健診等情報の提供に関するガイドライン」の整備を行うとともに、レセプト情報等の第三者提供を平成23年度から試行的に実施し、平成25(2013)年度から本格実施している。介護保険総合データベース(介護DB)は、介護保険法197Ⅰの規定に基づき、要介護認定情報や介護レセプト情報等について、個人情報を秘匿化したうえで、市町村から任意でデータ提供する形で、平成25年度から運用を開始した。平成29(2017)年の介護保険法の改正において、同法118の2によって利用目的が明確化されるとともに、市町村からのデータ提供が義務化されることとなった。当初は介護DBに保有する情報は、行政のみが利用してきたが、医療保険におけるNDBで第三者への提供が行われるようになったことから、社会保障審議会介護保険部会の意見に基づき平成30(2018)年から第三者提供を開始した。さらにNDBと介護DB等の解析基盤については、平成30年度に「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」において検討がすすめられ、これらを連結した解析を可能とすべきとの提言を含む報告書が発表された。これを受け「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律」が令和元(2019)年に成立し、2020(令和2)年10月1日から連結解析を可能とするデータの第三者提供が開始されることとなった。
(千葉正展)