X、Y、Z理論

 X理論とY理論は、McGregor, D.M.(マグレガー)によって提示された2つの対照的な人間観ならびにその人間観に基づく管理法の考え方である。X理論は、①人間は本来、仕事が嫌い、②強制や命令されなければ働かない、③命令される方が楽であり、責任はとらずに済むほうがよい、という人間観に立っている。X理論に基づく管理法は、厳しく監視・命令し、業績に応じた報酬を与えることで働かせるという考え方である。Y理論は、①人間は本来、仕事が好き、②命令されなくともすすんで仕事に取り組む、③自ら創意工夫し、自分の仕事の責任は積極的にとる、という人間観に立っている。Y理論に基づく管理法は、自主的に目標を定め、自分で業績を評価させ、その様子をサポートし励ますことにより、自らすすんで仕事に取り組んでもらうという考え方である。Z理論は、マグレガーのX 理論とY 理論の分類を受けてOuchi,W.G.(オオウチ)によって提示された管理法の考え方である。オオウチは、1970年代から1980年代の日米の企業比較から、日本企業とアメリカの優良企業の管理法の特徴をZ理論として導出した。Z理論の組織の特徴は、仲間組織(クラン)と呼ばれる特徴にあらわれる。この組織で想定されている個人は、X理論やY理論で想定されているような個人の欲求や目的の達成を優先する利己的な個人ではなく、組織や集団の目的の達成を優先する個人である。Z理論では、組織内の共通の価値観や組織文化といった社会的特性を用いて、組織メンバーをコントロールする。このようなコントロールは、小さくて非公式な組織や強烈な文化を有する組織で用いられることが多い。非営利組織の場合にも同様の特徴をもった組織の場合には、Z理論の考え方に沿った管理法が採用されうる。
(深山誠也)