営利組織

 営利を目的として事業を営む組織であり、営利企業と営利法人型の社会的企業によって構成される。営利組織では、事業活動によりえられた利益を、社員や株主など組織の構成員に分配する。対義語として非営利組織があるが、ここでの非営利とは、利益をあげてはいけないという意味ではなく、利益をえても構成員に分配せず、組織の活動目的を達成するための費用にあてることを指す。営利組織は、法人格の有無によって、営利法人と個人事業主に分類される。営利法人には、株式会社、有限会社、合名会社、合資会社、合同会社がある。株式会社は、株主総会と取締役が中心となる会社で、株式の所有と経営が分離している。有限会社は、平成18(2006)年の会社法改正によって廃止されており、新規には設立できない。法改正以降は、特例有限会社として、株式会社の一種として扱われるが、名称変更をせずに継続できる。合名会社、合資会社、合同会社は持分会社であり、所有と経営が一緒となる。出資者は社員と呼ばれ、会社の運営を担うが、債務者に対する責任の範囲がそれぞれの法人における大きな違いである。個人事業主は、法人を設立せずに個人で事業を営んでいる人である。社会的企業は、社会的課題をビジネスを通して解決・改善しようと活動を行う事業者である。社会課題の解決・改善をミッションとしている一方で、組織の存続のためには、利益を追求する必要もある。組織形態は、株式会社やNPO法人、一般社団法人などが混在しているため、営利組織と非営利組織の境界が不明瞭となっている。たとえば、福祉分野で事業内容が同一でも、株式会社の場合は営利組織として、NPO法人や一般社団法人の場合は非営利組織として分類されることになる。このような営利組織と非営利組織の境界は、NPO法人などが収益事業の拡大やビジネスマインドが醸成されることで、また、営利組織がCSR(CorporateSocial Responsibility)やSDGs(SustainableDevelopment Goals)などの取り組みを通して社会貢献をすすめることで、さらにあいまいとなっている。
(伊藤 葵)