永久拘束純資産(米)

 非営利組織の純資産の区分であり、FASB会計基準第117号『非営利組織の財務諸表』における「財政状態報告書」の純資産の3区分の1つである。1993年に公表された第117号は、非営利組織の財務諸表として、「財政状態報告書」、「活動報告書」、「キャッシュ・フロー報告書」の3つを要求する。「財政状態報告書」は、資産・負債・純資産を報告し、純資産は「非拘束純資産」・「一時拘束純資産」・「永久拘束純資産」の3つに区分される。「永久拘束純資産」は、時間の経過または組織の行動によって消滅しないような拘束を付されている寄附から生じる純資産である。そのような拘束の例としては、基本財産として維持せよという拘束があげられる。このような区分が求められるのは、FASB会計基準の理論的基礎であるFASB概念書第6号『財務諸表の構成要素』が非営利組織の純資産を「非拘束純資産」・「一時拘束純資産」・「永久拘束純資産」の3つに区分するとしていることに基づいている。さらにFASB概念書第4号『非営利組織の財務報告の目的』にさかのぼると、「資源に付されている拘束についての情報」を求めていることが理論的根拠となっている。第4号がこの情報を求めるのは、非営利組織のサービス提供持続力と組織の存続可能性を評価するのに役立つ情報だからである。非営利組織が受ける寄附には拘束が付されている場合が多く、その拘束は、組織の支払能力に重要な影響を与える。そのため非営利組織の財務報告においては拘束情報が重視される。「永久拘束純資産の額の変動」は「活動報告書」において示される。
(池田享誉)