インキュベーター

 もともとは孵卵器のことであり、それがビジネスの世界などで新規事業を軌道に乗せるためのさまざまな支援を行う施設や制度を指すようになった。また、新規事業の支援活動を指してインキュベーションということもある。インキュベーターは、「ビジネス・センター」、「起業支援施設」、「ベンチャー支援施設」として自治体が設立する施設や、大学が設立する施設、民間企業が設置する施設を指すこともあれば、シリコンバレーなどのハイテク産業のクラスターが地域としてインキュベーターとなっているという考え方もある。特に大学は起業を目指す人材、事業のシーズとなる技術や研究開発施設、起業を支える人的ネットワークなどを備えているため、クラスターにおけるインキュベーションの重要な存在であると指摘されている。さらに、資金を提供するベンチャー・キャピタルやベンチャー・キャピタリストの存在も重要とされている。施設としてのインキュベーターでは、会計、税務、法務、特許申請、商品企画、マーケティングなどに関する専門家がアドバイスをするほか、デスク、郵便ボックス、通信設備などのオフィス環境が安価で提供されたり、起業支援融資などの制度が設けられていることもある。起業の段階を過ぎた事業者を支援することもあり、その施設や制度をアクセラレーター(accelerator)と呼ぶこともある。
(吉田忠彦)