医薬品医療機器等法

 正式名称は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」である。薬機法とも略される。薬事法(昭和35年法律第145号)が改正され、平成26(2014)年11月に医薬品医療機器等法に名称変更された。改正内容の概要は、医薬品、医療機器等の安全かつ迅速な提供の確保を図るため、添付文書の届出義務の創設、医療機器の登録認証機関による認証範囲の拡大、再生医療等製品の条件および期限付承認制度の創設等である。医薬品医療機器等法の施行後5年をめどとして、改正後の規定等に検討を加え、令和元(2019)年11月に医薬品医療機器等法の改正が成立した。法改正の内容については、医薬品、医療機器等をより安全・迅速・効率的に提供するため、開発から市販後まで制度改善が行われた。具体的には、先駆け審査指定制度、条件付き早期承認制度の法制化により、日本の国際的な開発競争力を高めるとともに、早期の医薬品等へのアクセスが可能となる。医薬品等の添付文書の電子化により、医療現場で常に最新の情報を確認できるなどである。また、今後、在宅医療を受ける患者や、がん治療をはじめとした高度な薬学的管理を外来で受ける患者の増加が見込まれるなかで、薬剤師・薬局が地域包括ケアシステムの一員として専門性を発揮するための機能強化を図る改正が行われた。具体的には、継続的な患者の服薬状況の把握および薬学的管理を行うことを薬剤師に義務づけることとするとともに、在宅医療などに他の医療機関と連携して対応する「地域連携薬局」と、がん治療等の専門的な薬学的管理に対応する「専門医療機関連携薬局」の認定制度が導入された。関係事業者の重大な法令違反で特に改善が必要な場合の役員変更命令や、虚偽・誇大広告による医薬品等の販売に係る課徴金制度の創設など、関係事業者による信頼確保のための法令遵守体制等の整備が行われた。
(吉田初恵)