一般に認められた政府監査基準(米)

 アメリカでは、会計検査院(GAO)が、政府監査基準(GAS)を一般に認められた監査基準(GAGAS)として1972年に第1版を設定した。政府のアカウンタビリティを確保し、政府の業務とサービスの改善に役立つために、能力、誠実性、客観性、独立性のある高品質の監査業務を行うフレームワークを提供するものと位置づけられ、その表紙の色からイエローブックと呼ばれる。初版の後、1988年、1994年、2003年、2007年、2011年に改訂が行われ、最新版は2011年版に主要な変更を加えた2018年版である。内容は、前文に続けて、①GASの利用と適用の基礎および原則、②GAS遵守の一般的要件、③倫理・独立および専門的判断、④能力および継続的専門教育、⑤品質管理およびピアレビュー、⑥財務監査基準、⑦財務諸表の証明業務および審査基準、⑧業績監査の実地監査基準、⑨業績監査の報告基準から構成されている。2011年版との相違は、巻末につけられていた補足的ガイダンスを各章に組み込んだこと、独立性基準を拡張したこと、監査組織がそれぞれの関連組織のピアレビュー要件およびGAGASピアレビュー要件を遵守することを求めるようピアレビュー基準を修正したこと、無駄の定義を基準に含めたこと、内部統制が監査目的に重要となる場合を特に考慮して業績監査基準を更新したことなどである。
(小林麻理)