一般に公正妥当と認められた会計原則(会計基準)

 会計原則や会計基準は、一般に財務会計における会計処理や財務諸表等の会計情報の作成・開示に係る一定のルールを指す。また「一般に公正妥当と認められた」とは、社会一般に是認され、社会規範として受け入れられている状態を指す。一般社団・財団法人の会計では、「その行う事業に応じて、一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うもの」とされ(一般法人法119、199)、さらに「一般に公正妥当と認められる会計の基準その他の会計の慣行をしん酌しなければならない。」と規定されている(一般法人法施行規則21)。公益社団・財団法人の会計は、「一般に公正妥当と認められる公益法人の会計の基準その他の公益法人の会計の慣行をしん酌しなければならない。」と規定されている(公益認定法施行規則12)。この「一般に公正妥当と認められる公益法人の会計の基準」には、公益法人会計基準を含むという階層構造になっている。また社会福祉法人は、特段の定めのあるものを除き、社会福祉法人会計基準の定めるところに従い会計処理を行い、この会計基準に定めのない事項については、一般に公正妥当と認められる会計の基準に従うものとすると規定されている(社会福祉法人会計基準1①)。一方、私学助成法による補助金を受ける学校法人は、文部省令である学校法人会計基準に従うことになるが、ここに定めのない事項については、一般に公正妥当と認められる学校法人会計の原則に従うことが求められている(学校法人会計基準1②)。文部科学省が発する通知や日本公認会計士協会が公表する実務指針等がこれに該当する。以上から理解できるように、日本では、すべての非営利法人に適用される一般に公正妥当と認められた会計原則(会計基準)は存在せず、組織形態別に独自の基準が設けられている。それらは、非営利法人にとっての会計基準としての共通項はあるものの、各組織形態別に特徴のある会計処理等も定められている。
(李  焱)