医制

 1874年制定された、衛生行政の方針を示した訓令に近いものである。医制の内容は、第1条から第11条は衛生行政全般に関する規定、第12条から第26条は医学校に関する規定、第27条から第36条は教員と外国教師に関する規定、第37条から第53条は医師に関する規定、第54条から第76条は薬舗と売薬に関する規定から構成されており、現在の医療制度の基礎となっている。ただし、訓令に近いものであるため、実際に施行されるときは、個別の内容に関する「達」などが発せられることになり、徐々に医制の内容が施行されていく構造となっていた。なお、医制で定められたおもな内容は以下のとおりである。①医師開業は、医学校の卒業証書をもち、かつ、内科・外科等の専門科目を2年修業した者に免状を与えるという、医師免許制度(第37条)。②医師の養成を目的に各大学区に医学校を1か所設置し、病院を併設させる(第12条)。③開業免許があればどこでも開業することが自由という、自由開業医制(第47条)。④江戸時代より慣習であった診察料の代わりに薬代として報酬をえていたものを、処方書を出し相当の診療料をとるようにし、技術料と薬剤の分離を図るという、医薬分業(第41条)。⑤患者が診察料を支払わない場合の規定による、未収対策(第48条)。
(上村知宏)