ワーカーズキャピタル

 労働者が拠出し、あるいは労働者のために拠出された資金を指す。企業年金、国民年金等の公的年金および労働組合の独自資金などがある。ワーカーズキャピタルの運用では、財務的要素だけではなく、ESG(EnvironmentSocial Governance:環境・社会・ガバナンス)等の非財務的要素を考慮し、株主・資産所有者としての権限を行使することで公正で持続可能な社会形成に貢献する責任投資をすることが求められている。平成22(2010)年12月に日本労働組合総連合会(連合)が「ワーカーズキャピタル責任投資ガイドライン」を策定し、ワーカーズキャピタルの運用では、①投資判断において非財務的要素であるESGを考慮する、②労働者の権利保護を考慮する、③中長期的かつ安定的な収益の保護に努めることをガイドラインの基本理念としている。ESGのなかでも、強制労働や児童労働の禁止、労働基準の遵守、ワークライフバランスの促進といった働きがいのある人間らしい仕事(decent work)の実現が重要であるとされている。
(丸山恭司)