予算

 科目ごとに将来収支の金額を示すが、当該金額で示された将来の交換行為の予定表である。予算が見積もりの色彩が濃いか、活動予定表という色彩が濃いかは組織による。企業予算は見積もりの色彩が濃くマネジメントの道具として機能する。収支予算額は権利・義務額ではなく目標額となる、従って企業活動は必ずしも企業予算に縛られない。政府予算は予定表の色彩が強く行政活動の指針として機能する。政府活動は政府予算に従うと表現してもよい。ここに会計との連携に差異が生じる。企業では予算より会計(決算)が重視される事後統制が求められる。政府では会計より予算が重視される事前統制が求められる。非営利組織(法人)が企業型か政府型かに依存してその予算の意味も変わる。政府・所轄省庁の統制が強いと政府型予算の色彩を帯びるが、一方で、自由化(規制緩和)がすすむと企業型予算が求められる。政府型予算の色彩が強い非営利法人では、事業計画と収支予算の機関決定が求められる。ただし、その規模等で影響力が低い非営利法人ではその手続きが省略される。一方、政府型からの脱却が模索され始めると、予算による事前統制より、会計による事後統制が支持されるようになる。しかしながら、事前統制と事後統制が併存すると非営利組織の活動に矛盾をもたらす。
(柴 健次)