職務執行状況の報告

 公益法人・一般法人において、代表理事、業務執行理事は3か月に1回以上、自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならないとされており、この報告のことをいう。ただし、定款で毎事業年度に4か月を超える間隔で2回以上その報告をしなければならない旨を定めることも認められる(一般法人法91Ⅱ、197)。一般的に、この職務執行状況の報告義務は、理事会における理事の職務の執行の監督機能(同法90Ⅱ②、197)を実効あらしめるためと解されている。理事会における理事の職務執行の監督の中核が、策定された事業計画に照らして、その成果が妥当であったかを検証し、最終的に現在の代表理事、業務執行理事に運営をゆだねることの是非について判断することであるため、代表理事、業務執行理事の職務執行状況を理事および監事の全員に通知したとしても、討議の機会を保証する理事会での報告が省略されることは認められない(同法98Ⅱ、197)。社会福祉法人においては、一般法人法と同様の趣旨で理事長、業務執行理事は3か月に1回以上、自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。ただし、定款で毎事業年度に4か月を超える間隔で2回以上その報告をしなければならない旨を定めることも認められる(社福法45の16Ⅲ)。また、医療法人においても同様に、理事長は3か月に1回以上、自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。ただし、定款(または寄附行為)で毎事業年度に4か月を超える間隔で2回以上その報告をしなければならない旨を定めることも認められる(医療法46の7の2Ⅰ)。
(和田一夫)