ファンドレイジングとは③

(公開日:2019年5月28日)

Q (一財)ふくしま百年基金さんの主なミッションや事業を教えてください。

法人形態は、財団法人ですが、財団法人にもいろんな種類があり、コミュニティ財団という分類になる。

 

コミュニティ財団とは、全国コミュニティ財団協会というネットワーク団体があり、そこで定義しているのが、あるエリアの中で活動を行います。

 

市民が出資をして、それぞれから集めたお金を原資として活動を行っていくという定義をしている。

 

ふくしま百年基金もその定義に則り行っている。福島というエリアを限定、福島の中でのさまざまな課題解決のために寄付を推進して、公益・一般・NPOに向けて資金助成をすることによって寄付文化を作っていこうとうことに取り組んでいる財団。

 

設立してようやく1年というところではありますが、設立準備の段階でも2,000名近い方々から少しずつ寄付をお預かりして設立をしました。

 

ここ1年間の活動では、「スモールスタート支援事業」を始めました。これは、福島県の郡山市の周辺において、何か社会課題解決のために、新しい取り組みを行いたいという方々に対して支援を行う取り組みをしました。

 

また、「わかものチャレンジプロジェクト」を実施しました。これは、高校生、大学生などの若い方々が復興課題に何か取り組みたいとことに対して支援を行ってきました。

 

それぞれ寄付をお預かりして、その寄付(原資)でもって支援をする。そういうスタイルで取り組んでいます。

 

設立の経緯は、震災が一つの契機であった。

 

あと2年で復興庁も終わるが、ポスト復興庁で福島の支援は継続していくそうだが、これまでのように東北の被災地だけを国としてみていくわけにもいかないだろうし、ポスト10年を見据えたときに、いかに自分たちで資金調達をして、自分たちの志に基づく資金を循環させて、活動を持続させていくのかということが非常に大事になってくる。

 

被災者はまだまだいらっしゃるし復興がどのくらいで復興と呼べるのかもありますが、少なくとも我々の考えとしては、10年で復興が終わらないと思っている。その先を見据えたときに、福島の中にきちんと基盤となるような財団を作って、10年以降の活動をしっかりと支えていこうというのが工程にあります。

 

Q (一財)ふくしま百年基金の今後の事業や運営の目標を聞かせてください。

⇒地域への浸透が課題だと思っている。

 

まだ、ようやくこういう財団が福島に出来たんだということを地域の非営利(NPO)に知っていただいた段階なので、いままだみなさんは様子見だと思います。

 

あの財団は本当に使えるのか、そこに寄付を託していいのか、そこに支援をお願いしていいのか、これからもっと地域で使ってもらえる存在にならないといけないと思いますので、私たちはよく社会課題(復興)解決は、主役は被災者の方々であり、それを支援する現場の団体さんであるので、私たちはリソース(資源)になろうという言い方をする。

 

いかに福島の中で使ってもらえるリソースになるか。そのためには、知ってもらわなければいけないし、もっと寄付をお寄せいただく、信託されなければいけない。そういう存在になるのが課題である。

 

行政とも意見交換をさせていただいていますし、企業の方々から寄付をお預かりすることもあります。先ほど申し上げた助成事業だけではなく、NPOさん向けに研修を実施したり、シンポジウムで情報発信する場を多く設けるようにしています。

 

その他には、日常的に団体さんとコミュニケーションをとっていますし、最近では、社会的インパクト評価のことも云われていて、いかにNPOの成果を見せていくか。ということが大事になってきている。そういうことのお手伝いもさせていただいています。

 

福島県内のNPOさんは920団体くらいあり、全国で13番目くらいです。これは宮城県より多く、震災の後にすごく増えた。震災後に福島の人々が、何か地域のためにやろうと思い立ち上がったことが多い。これが福島の特徴でもあると思います。

 

認定ファンドレイザー 山﨑庸貴氏 プロフィール

一般財団法人ふくしま百年基金 代表理事

認定特定非営利活動法人日本ファンドレイジング協会

認定ファンドレイザー/認定講師/東北チャプター共同代表

 

福島県会津若松市出身・在住。東北学院大学教養学部卒業、筑波大学大学院経営・政策科学研究科修了。経営学修士(MBA)。

 

学生時代を捧げた国際交流NPOの活動を通じて、NPOの「経営」に関心を持つ。外資系経営コンサルティング会社にて人材・組織マネジメントを専門としたコンサルティングに従事の後、NPOの組織診断や調査等を実施する中間支援NPOにて研鑽を積む。その後、個人事務所を立ち上げ、NPOの組織開発や人材育成、プロジェクトマネジメント支援、ワークショップ企画・運営等に携わる。

 

2011年に発生した東日本大震災・福島第一原発事故を契機に、故郷・ふくしまへUターン。復興支援で活躍するNPOのネットワークづくり、活動コーディネート、経営支援等に奔走する。

 

夢は「ふくしまを社会課題解決先進地にする」。

 

≪参考資料≫
(一財)ふくしま百年基金についてPDF
(一財)ふくしま百年基金 2018年活動報告PDF

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